繋ぐ。

微生物という目には見えない生き物との会話が楽しい発酵食づくり。そこに凝縮された先人の知恵と工夫には敬服のほかありません。猛毒を持つフグの卵巣を糠や酒粕に漬け込み無毒化してしまうなどよく考え付いたものだと感心するのと同時に、人類の食への貪欲なまでの探求、延いては生きることへの強い肯定と執念をも感じます。フグ子の粕漬けはわたしの好物のひとつですが、そこに辿り着くまでには何人もの命が消えて行ったということは想像に易くありません。

発酵食づくりを通じて、林弘子さんという方のご本と出会いました。すでに故人となられているこの方は、生前パン教室を主宰されておられましたが、その活動はパンづくりに留まらず、発酵全般に広がっておられました。

水と小麦粉と空気中の野生酵母とでパン種を起こすという原初的なパンづくりをされていたことは、わたしの心を大いに揺り動かし、またロマンを掻き立てましした。林弘子さんのご著書は単なる発酵食づくりの実用書ではなく、そこには彼女の情熱と生き様が迸っています。わたしは図書館で偶然手にしたその本を夢中で読み、実践し、折に触れてはページを開き、そこに凝縮されている彼女のエネルギーを感じとりました。図書館の返却期日が近づくと貸出延長を申し出、いつまでも手元に置いておきたくなりました。

ところが残念なことにこの本はすでに絶版となっており、中古では18倍もの高値がついていてとても手が出ませんでした。

半ば諦めていた時、出版元がオンデマンド選定出版というシステムを行っていることを知りました。つまり読者のリクエストで復刊される可能性があるということです。早速、出版元にリクエストメールを送信したのは言うまでもありません。しかし、わたし一人の声では復刊に漕ぎ着けるわけもありません。

そこで、わたしが参加しているフェイスブック内のTGG豆乳ヨーグルト同好会の皆様に、投稿を通じて、林弘子さんの本の素晴らしさをお伝えし、出版社に復刊リクエストメールを送って下さるようご賛同のお願いをいたしました。発酵をこよなく愛するメンバーの皆様にとって必携と言っても過言ではない良書だと思う一方で、正直どこまで思いが通じるのか不安でもありました。

わずか数時間の間にたくさんのイイね!や復刊リクエストメールしますというメッセージをいただきました。それだけではなく、こういう工夫をしたらもっとリクエストメールを送ってもらいやすくなりますよとアドバイス下さる方が現れたり、出版社に働きかける以外にも復刊の道があるということを教えて下さる方も現れました。復刊への願いはもちろん変わりませんが、わたしの小さな声に多くの方々が耳を傾け、ご賛同賜っておりますことに何よりありがたさを感じます。

菌を繋ぎ発酵させるように、先人の知恵やそこに込められた数々の思いも、人の温かい心と共に繋げて行ける自分でありたいと思う、今日この頃です。

 

※ご賛同どうぞよろしくお願いします。

♥林弘子さんのご復刊リクエスト図書二冊♥

「秘伝 自然発酵種のパンづくり」

「秘伝 発酵食づくり」          いずれも出版社は晶文社。

 

晶文社へのリクエストメールはこちらのアドレスです。http://www.shobunsha.co.jp/?page_id=59

絶版本復刊させる専門サイトへのリクエストはこちらです。http://www.fukkan.com