嬉しい出会い


先日のフォローアップ研修の帰り道。ふと、あるビルの前で足を止めました。こじんまりとしたビルの一階はガラス張りですが、パネルに囲まれていてフロアの様子はわかりません。金属にペンキを塗っただけの無機質な階段が地下に降りているのだけが見て取れます。なんとも不思議な感じです。ガラスに顔を近づけ、地下を覗き込むと「こんにちは」と優しく声を掛かけてくれる人がいました。ビルから出てきた若い女性でした。「よかったら中を見て行きませんか?」そのビルは写真撮影の為のスタジオで、地下では「ネイチャーアクアリウム」を育てているので興味があるようでしたらどうぞ、とのことでした。嬉しいお誘いに、笑顔で頷いたのは言うまでもありません。地階の中央にはLEDの蒼ざめた白い光に照らされた幅120㎝ほどの水槽が置かれていました。水草や藻、流木などとともに自然さながらの起伏を表現した水槽には、どこまでも透明な水が湛えられ、その静かな流れのなかで小魚やエビ、巻貝などの淡水生物が暮らしていました。自然の清流での一コマを水槽のなかに再現したかのような美しさは、水のなかの盆栽のようです。わたしを案内してくれた女性はすぐに仕事で出てしまわれましたが、後を引き継いで下さった男性スタッフの方もとても親切でした。仕事の手を休めて、世界レベルのコンテスト出品作品を見せて下さったり、「ネイチャーアクアリウム」の設え方やメンテナンス、写真の撮り方など「ネイチャーアクアリウム」の魅力をいろいろとお話して下さいました。テレビでしか見たことのなかったネイチャーアクアリウムでしたが、こうして直接手掛けておられるプロの方から解説つきで見せていただけるなんて、思いもよらぬ幸運に恵まれました。帰り際、「近くに来ることがまた立ち寄って下さい。違う作品が見られるかもしれませんから」と温かい言葉を掛けていただきました。人とモノとの嬉しい出会いに、感謝、感謝の一日でした。